ここで注目されたのは、ネットにアクセスする個々人やサイトの運営者が、どこまで情報についての責任を負うのかという点だ。Rosenthal氏は本来の情報ソースの持ち主ではなく、あくまで二次配信を行った立場である。通信品位法の適用範囲によっては、自身のブログに告発文を掲載したニュースへのリンクを貼っただけの個人、フリーの掲示板サイトを運営している個人や団体が第三者の投稿によって訴訟を抱え込むリスクが発生することにもなる。
「ネット上の名誉毀損は誰の責任?」− 注目の裁判に加州最高裁の判断 (MYCOMジャーナル)
ひじょうにミスリーディングな書き方のように思われる。記事内容からすると、原文を読んでいるのだから、その内容をふまえて的確に示すべきではないか。聞き覚えのある名前だったので、すぐに思い当たったのがこの記事。
According to the Third Circuit in Zeran, such immunity is available even when a provider or user knowingly distributes defamatory materials, and possibly profits from such conduct. Since the decision in Zeran, no court has subjected a provider or user of an interactive computer service to liability for knowingly disseminating third-party defamatory statements via the Internet
FindLaw's Modern Practice - Is an Online Encyclopedia, Such as Wikipedia, Immune From Libel Suits?
カリフォルニアの最高裁は、個人ユーザを除外することでこの判断の一部を否定したのだが、「サイトの運営者」まで除外するものではないだろう。あくまで、この判断の射程範囲は、今回の被告と同様の「ユーザ」にかぎられるとみるべきではなかろうか。
私自身、英米法は得意でないので、上記の見方が正しいかどうかは心許ないが、判例の射程範囲を過度に一般化するのは基本的に妥当でないと思われる。あくまで、当該事案に即した形で理論的な問題が考察されているのであって、事案を超越して一般理論が展開されているわけではない。
話をさらにそらすと、どうもその点を誤解した人たちがいるのが、法科大学院制度を作ろうという動機の一つだったというのは、いいすぎか。予備校本を全否定する気はないが、絶対に許せないのは、この判例の扱い方で、なぜ事案を無視して、一般化するのか理解に苦しむ。書いているのは司法試験に通った者ではないのかとの疑念すら起こさせる表現もある。
>Winnyの話はうまく伝わらないでしょう。
うまく伝わらない一つは、具体的なWinnyのシステムについて、前提としないで問題をすり替える人がいることでしょう。
それ以外は、Winnyのシステムが、ややブラックボックスだからでしょうか。
>とすると、セーフハーバーは、ただちに裏返された構成要件該当性を認めうる作為義務になるのです
主たるところは、それでも頑張りますと腹をくくっているような気がしますけどね。そのような腹をくくったところ以外は、賠償責任でつぶれるとか、保険金が支払えなくなるというのは、結構スマートね。
でも、とりあえずは、セーフハーバーで始めましょといっています。
賠償責任や保険で刑罰を回避できればいいですが。