報告者:Joerg Brammsen バイロイト大学私講師
通訳:前嶋匠 奈良産業大学専任講師
テーマ:企業組織幹部の正犯性
Organisationstaeterschaft im Wirtschaftsleben?
日帰りで、いってきました。内容はそのうち関大の紀要にでも載るのでしょう。共同意思主体説の環境で育ったσ(^_^)にとっては、あまりにリジッドすぎるのではないかという印象でした。
半分答えがみえていたのですが、ちょっとだけ、確かめてみました。部下が企業活動に偽装した犯罪行為の企画・立案をして、これを取締役が決裁して、実行した場合、どのようになるのでしょうか。ドイツの議論は、どうも上から下へという一方向しか企業の意思決定・活動をみていない気もしていましたし。久々に刑法解釈論に染まった感じでした。
この前の関西から東京へ来たときの土産もドイツ刑法の論文でしたが、今回の関西からもってかる土産もドイツ刑法論文でした。関西の名物はドイツの刑法の論文みたいです。時間がなくて、ふぐを食べ損ねたのはちょっと残念。
もうひとつの収穫は、ドイツの刑法学者でも故意説はいまだに根強いことを知ったことでしょうか。Frischさん、Jakobsさんについで、Brammsenさんもそうだとか。
# Jakobsさんの博士論文が罪数論だということをはじめてしりました。どうも過失犯の印象が強かったのですが、あれは教授資格論文だったのですね。
共同正犯の判例を事例から洗い出しをすると
(1) 共同医師主体説型:暴走族の共同危険行為
(2) 相互利用間接正犯類似型:日本人と中国人の窃盗集団
(3) 会社組織指揮命令型:オレオレ詐欺組織や893組織薬物密売
(4) 教唆型:妻による愛人を使った夫殺し
という具合に事実レベルで類型化できるような雑感をもってます。