所詮この程度

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日興の全額出資子会社の日興プリンシパル・インベストメンツ(NPI)と、その子会社のNPIホールディングス(NPIH)との間での他社株転換債(EB)に関し、会計処理が不適正だったとしている。また、NPIHを連結決算から外す会計処理をしていたが、NPIの子会社として連結すべきと判断したという。

NIKKEI NET:経済ニュース


今日の日経の朝刊を読んでいたら、この粉飾決算が一人の平社員の書類の偽造によってなされたということが書かれていた。組織的なものでないということらしい。しかし、逆にいえば、一平社員の偽造を、しかもそれによって、当期利益の20%強が動いてしまうような偽造を、その直属の上司も含めて上層部がなんらチェックすることができないようであれば、もはやそのような会社は会社としての体をなしていないのであって、それこそすみやかに消滅させるべきであろう。
さらには、そんなことも見抜けない監査など無意味なのであって、監査を担当した監査法人の責任をもっと厳しく追及すべきでないだろうか。損害賠償請求を含め積極的な責任追及をしないのであれば、株主の保護はお題目にすぎなくなる。

さらにいえば、一社員の偽造で間違っていたから決算を訂正するということに適性という意見を付するのであれば、監査に意味があるといえるのかはなはだ疑問だ。
実際、こういった実態は、問題が表面化した企業だけではなく、内部統制頑張っています、内部監査やっています、コンプライアンス体制をせいびしていますなどといっている企業にも、実はあるということをいろいろな経路から耳にしている。こうした形だけの内部統制、形だけのコンプライアンスがまかり通っている日本の会社の現状を直視しない、直視できない企業統治に関する法制度の研究も、おのずと限界があるように思う。

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コメント(7)


 「研究」ですか?
 すでに検察庁からにらまれているのに、成果を公表すると保管検察官からさらににらまれるので、マニアックな「裁判例のコレクション」に過ぎないと思ってやっています。そこに裁判例があるから閲覧しにいく。ただ奥村のPCに蓄積していく。
 書面に引用するのは咎められないようですが。もったいない話です。

 次は児童ポルノ関連で受任してしまった関係で強姦・強制わいせつをターゲットにしていますが(件数多いし、刑法典本体なので?助っ人弁護士も参加!)、量刑の要素(年齢・被害者数・行為態様・示談・被害者の過失)とかを抽出して、グラフにして発表するくらいはどうなんですかね?誰に聞いたらいいのかもわかりませんが。
 学者先生の量刑研究は罪名と宣告刑のみのデータ(from最高裁)から量刑分布をグラフ化して分析するというアプローチが多いのですが、それでは事案がわからないので、弁護士が具体的な事件を前にしたときの量刑予測ができません。「グラフによれば殺人既遂より未遂の方が軽い傾向が見られる」なんて言われても役に立たない。
 弁護士が欲しいのは、「強姦罪、被害者何歳、被害者何人、示談できた、被害者に過失あり」「強制わいせつ、電車内痴漢、被害者何歳、被害者何人、示談できない、被害者に過失なし」という要素が与えられたときに、「大阪地裁H18.×.×は懲役3年実刑(犯罪事実・量刑理由の要旨)、神戸地裁H18.×.×は懲役3年執行猶予5年(犯罪事実・量刑理由の要旨)、大阪高裁H18.×.×は示談成立を理由に破棄して執行猶予にした・・・」とはじき出されるようなデータベース。量刑の要素から弁護人が何をすべきかもわかる。弁護人の手間と着手金もはじき出せる。執行猶予の統計上の確率も出せるから、被告人も肝を据えることができる。事件をきっちり特定できれば、裁判所と検察官が裏を取ってくれるので、詳細な記載は必要ない。
 児童ポルノ・児童買春・児童福祉法については、ほぼ完成したものの、マイナー犯罪なので、需要が少ない。(件数が少ないからできたとも言える)
 極めると量刑分析の頂点に立てるんですが、件数が多いのと、新規が止まらないのとで、駿河湾から富士山頂まで歩いて上るような感じですね。
 あとは、コストの回収方法を考えたいですね。最近では奥村に対して23条照会してくる弁護人もいるんですが、カンパぐらい欲しいところです。

これって立派な研究だと思うのですが。
ただし、企業における研究と同じで、秘密として商売道具にするのか(コカコーラの原液みたい)、公開して共用を図るのかという選択はあると思います。技術なら、特許として公開して儲けるという中間の道もありますが、この方面はそういうのはないですね。

 そういう意味では、細かい量刑理由と量刑については、公表できませんね。
 しかもそれがバレちゃうと、公判のスリル・真剣勝負感や被告人のドキドキ感が失われるので、それは伏せておけという声も聞きます。
 また、弁護人は被告人に有利な主張を構成しないとだめだから、罪数とかの自説を公表してしまうと、次の事件で困ります。例えば、性犯罪とその際の製造罪(撮影)の罪数(ハメ撮り行為の擬律)については、当初観念的競合説を唱えて名古屋高裁金沢支部H14.3.28(併合罪説)・名古屋高裁金沢支部H17.6.9(併合罪説)を受け、児童淫行罪と製造罪の裁判例を根拠にして東京高裁h17.12.26(観念的競合説?)までは観念的競合説でしたが、その後、大阪高裁H18.9.21(観念的競合説?)を経て、大阪高裁h18.10.11(併合罪説)を境にして(大阪高裁H18.10.11に対しては上告して観念的競合を唱えつつ)、併合罪説に転じて、現在、札幌高裁で併合罪説を主張しています。
http://d.hatena.ne.jp/okumuraosaka/20061205/1165284631
 コロコロ変わりますので、最近では法廷で
  裁判所「奥村弁護士の見解としてはどっちやねん?」
  弁護人「どっちでもええやんか! そういう裁判所はどっちやねん?」
というやりとりがあります。罪数処理で。

 実務家に必要な知識と学者先生が追い求める理論的体系性とは必ずしも一致しないでしょう(最後まで)。
 実務家にとっては結果の妥当性と判例が金科玉条であるし、個別事案に応じた理屈すら要求されますから、抽象的一貫性が図り難いところが多過ぎます。
 共謀共同正犯否定説はとれないし、片面的幇助犯不可罰説もとれないし。立法の不備を実務の解釈で補って結果の妥当性を図ることが要求される場合もあります。
 情報窃盗をコピー用紙やFDの窃盗又は業務上横領で処理したり、著作権法違反幇助で処理したり……。
 逆に言えば、残念ながら学者先生の書いた文献の中で、サイバー犯罪の実務現場で使えるものは見当たりません。具体的犯罪手口や証拠構造を理解した上での記述が極めて貧弱だからです。
 これは職域が違うから当然だと思いますが。

 それ以前に、研究者の方は、判決が出てからでないとなかなか論文を書いて下さらないので、実務担当者としては「役に立たない」という不満がないわけではありません。
 いざ判決が確定してしまうと、研究者の方々がいかに論理的な批判を加えようとも、その判決が確定裁判例として残ってしまうわけですから、研究者のご意見はそれ以前にお聞きしたかったりはします。

児童ポルノ・児童買春の地裁事件についても、執行猶予判決の刑期は6月区切り、実刑の場合は1~2月区切りであることを発見しました。
執行猶予の場合http://d.hatena.ne.jp/okumuraosaka/20061226/1167092705
実刑の場合http://d.hatena.ne.jp/okumuraosaka/20061227/1167097676

だからどうしたと言われても・・・。
話のネタにでもしてください。

>執行猶予判決の刑期は6月区切り、実刑の場合は1~2月区切り

それは一般事件にも見られる傾向です。逸般判決や逸範判決は別として。例外は一昔前の覚せい剤取締法違反で、懲役10月猶予2年とか、懲役1年2月猶予3年という時代もありました(遠い目。

だからどうだと言われれば、雑学です(キッパリ。

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このページは、Tetusya Ishiiが2006年12月20日 13:24に書いたブログ記事です。

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