認証評価って

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これで法科大学院74校のうち、04年春に開校した68校の評価が終了し、不適合は約3分の1に当たる22校となった。

[From NIKKEI NET(日経ネット):社会ニュース-内外の事件・事故や社会問題から話題のニュースまで]

 うち,3校は,今年度に追評価を受け,適合となったので,実質は19校ということになるかもしれない。注意しなければならないのは,認証評価の不適合が不適格だというわけではないことでしょう。認証評価は,ある意味では,教育マネジメントの適正性に対する評価であって,欧州流のものでいえば,ISO14001などの管理システムのようなものであり,米国流でいえば,内部統制とその有効性に対する評価みたいなものではないでしょうか。
 したがって,適合・不適合という結論だけでなく,個別の評価基準における勧告なり,意見なり,問題の指摘に対しても,なんらかのアクションをとって改善していくことが求められているものと受けとめるべきでしょう。もちろん,指摘された種々の事項に対してなんら改善策を打てないということであれば,もはやそのようなマネジメントシステムが要求される場所から退場するしかないでしょうが。

 もちろん,大学教育においてこのようなマネジメントシステムを導入することが妥当かどうかは,異論があるでしょう。ただ,国立大学の独法化の前後くらいから,あたかも当然かのようにこのようなやり方が大学教育に導入されているのも事実です。
 一点気になるのは,大学あるいは各部局に対する第三者機関の評価が次期中期計画にただちに影響をおよぼしてしまうということです。各法人の自由な経営判断を認めるための独法化というのであれば,認証評価や第三者機関の評価をどのように受けとめ,改善していくのかも,各法人にまかせてよいのではないかと思います。
# 大学内部でも,認証評価を理解しないあるいはできない人たちは多くいますが,経営や会計あるいはISOなどに関わっている人たちがもっと啓蒙しないといけないのかもしれません。

 で,今日は,法科大学院のオリエンテーションと新入生歓迎懇親会でした。おそらく楽しいのは,明日のオリエンテーションが終わるまで(そのあとの花見が終わるまで?)でしょう。すぐに大量の予復習に追われる日々がきます。こじんまりしたところなので,お互い助け合って,よきライバルとしてやっていけば,よい結果が出るでしょう。

「法律の文章は,短歌や俳句と同じで,多くのことが簡潔にまとめられている。短歌・俳句を理解するのに,十分な教養,背景となる知識などが必要だし,すばらしい短歌・俳句を作るには,相応の教養が必要でしょう。法律の文章も上っ面だけを見て,読み取っても,理解できるわけではないし,その背後にある実質的な衡量,理論,背景的な知識がないとだめでしょう。また,よい文章も,そういったものがないと,うまくかけないのではないでしょうか。法律の文章を読み,書くための実質的な事柄を理解してもらえるようにするのが,(私の)授業の目的です。」from 懇親会の挨拶の一つ
# 上記の評価報告書を読んでいると,未習者に正規授業であるいはそれ以外に多くの時間を刑法に割いているところがいくつかありました。しかし,1年次の刑法は,総論・各論あわせて4単位で十分ではないかと思います。十分に予習してくるという前提があるなら,それ以上やっても,自習時間を減らすだけでなく,過度の情報をも与えることで,かえって消化不良で伸び悩みそうです。

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このページは、Tetusya Ishiiが2009年4月 2日 23:29に書いたブログ記事です。

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