命の値段は,なんぼ?

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 写真集を出して,その売り上げを自分の政治資金にしようという某市議会議員が,自分と同じ幼稚園の出身とわかっても,心浮かれない今日この頃。
#だって,全く知らない人なんだし。

 財務省が医療費の総額を引き下げるよう要請しているとか。細かな各論的問題は置くとして,高齢者が増えてきて,医療を必要とする総数が増えつつあるなかで,医療費にシーリングを設けるというのは,簡単にいえば,医療の質をさげろ,ということなのではないの?ここ10年から20年の動きも,病院における看護師の必要数を減らしたりとかしてるわけだし。病院に入ってくるお金が減れば,人件費を削減するしかなくなったりして,医師や看護師がいないから,ベッドが空いているのに,患者を受け入れることができませんとかなったりしている現状もあるわけで。
# それでも,全部自由診療で支払い能力があるならとか,最上級の特別室なら,入院させてあげます,というところも多いはず。

財務省は19日、2010年度予算編成を巡り、患者や公的な健康保険が医療機関に支払う診療報酬の引き下げを厚生労働省に要求すると発表した。3%程度の引き下げを求める方向だ。主に中央社会保険医療協議会(中医協、厚労相の諮問機関)で決めていた報酬配分についても、政府の見直し案を年内に決めるよう要請する方針だ。

[From NIKKEI NET(日経ネット):財務省、診療報酬「引き下げ」要請へ 配分見直し案も年内に]

2010年度予算で診療報酬を引き上げ、緊急治療を担う病院や勤務医への報酬を増やすことで、地域医療の崩壊を食い止めるのが狙い。

[From NIKKEI NET(日経ネット):民主、医療費議連が発足 「診療報酬引き上げを」]

 国民皆保険であるがゆえに,保険の支出総額を減らすというのは,保険で保障する医療内容を悪化させるということなんじゃないのかなぁ。アメリカみたいに,所得に応じて保険が選べて,加入する保険に応じて可能な治療方法が変わるというのもどうかとは思うが,こうやって,医療の質が切り下げられる,あるいは,医療の進歩に応じた医療を受けることができないのであれば,まだ,そのほうがいいかとも思えてくる。
 一律に提供される医療内容が悪化するなら,金持ちは,別途特別の医療を受けることができる保険に加入するなり,すべて自由診療でいこう,ということで,まともな医療を受けることはできるかもしれない。それでも総体として,医療が疲弊してしまえば,そういったことすら不可能になるような気もしなくはない。
 財務省の医療費の総額を引き下げろというのは,実は,国民全体の命の値段をなんぼのもんと見ているかという一つの答えなんじゃなかろうか。

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このページは、Tetusya Ishiiが2009年11月29日 16:49に書いたブログ記事です。

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