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不正指令電磁的記録等作成罪.jpeg

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とりあえずここにぶらさげておけば伝わるだろう。

> の懸念は私が言うように目的要件を変更しても同じことだというのです。つまり、目的要件に「意図に反する動作をさせる目的」等を入れた場合であっても、世間に不正指令電磁的記録と見なされるとの認識を作成者が持ったら犯罪を構成するというのです。

どこで行われた話をしているのかこれだけではわかりませんが、スラッシュドットでの議論をこのように要約しているとしたら誤りです。

スラッシュドットでの指摘は不作為犯に関するものです。過失で意図に反した動作をするプログラムを作ってしまい、作成したものが世間から不正指令電磁的記録と見なされるようになったと認識した後で、不具合の部分を放置して開発を継続したとしても、不具合の部分は放置なんだから、不作為でしょう、ということです。不作為犯で罪に問うのはかなりハードルが高いので、当初の予定通り開発を継続したことで罪に問われることは、そう簡単には起きないはずです (罪に問われるのであれば、開発を中止する義務が認識されているはずだが、そのような義務は存在しないというのが高木さんの主張ですし)。

仮に、不作為犯で罪に問われるような状況が発生しているなら、被害を抑えるための義務とされる行為を故意に拒否していることになりますから、高木式の目的要件を入れていても、「意図に反する動作をさせるという実行の用に供する目的でやっている」と判断されるのではないか (もちろん同一の概念ではないので一致するという保証はないが、現実的にはほぼ同じ結論になりそう)という話です。

以上をまとめて、「そう簡単に罪には問われない。仮に罪に問われるケースなら、目的要件を変更しても同じでは」という議論です。

ここから先はスラッシュドットでの議論には入っていない話になります。

不作為だから罪にならないと主張するのか、目的要件に入れるのか、でどういう違いが生じるかは、ウイルス作成罪の範囲だけで議論していると明らかではありませんが、他の罪も考えると違ってきそうです。

プログラムによって実行される犯罪は、ウイルス作成罪だけではありません。たとえば、タコイカウイルスの事件では、器物損壊を適用しています。タコイカウイルスの事件の結論がどうなるかはともかく、ある条件下で実行すると何かを壊してしまうプログラムはあり得るでしょう。そのようなプログラムを過失で作ってしまい、一定の条件下で実行すると器物損壊をやらかしてしまうプログラムだったと認識した後で、壊れるものは大したものではないからということで、ちょっと注意書きを付け加えて開発や配布を継続し、被害が発生してしまった場合はどうなるでしょうか。

高木さんの議論では、認識があってやっているから故意が成立する可能性があります。器物損壊には目的要件もないので、そこではねることもできませんから、有罪ということになっても不思議ではないことになってしまいます。それが高木さんの理想とする解釈でしょうか?

一方、不作為として罪を否定するのであれば、それは器物損壊など、刑法の他の条文でも有効な議論です。どちらが高木さんの目的にとって望ましい解決でしょうか。

えっっs

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このページは、Tetusya Ishiiが2010年12月28日 12:28に書いたブログ記事です。

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