2005年6月アーカイブ

【目次】
序論
「リスク社会」の時代における過失—偶然責任と責任原理との間の答責の記述
A.一般的なリスクについて
 I. 「リスク社会」
 II. リスク対安全—現代の「予知不可能性」と「不知の深淵性」
 III. 行為者の固有の不確実性、「属性の欠如」および「偶然の要因」
B.リスクと(刑)法
 I. 法の「リスク志向」概説
 II. 法の「リスク志向」の詳細
 III. 刑法における過失概念への影響
C 過失概念の明確性に対する疑念
 I. 偶然責任の問題
 II. 「原因において自由な行為」
 III. 課題の設定と議論の進め方

民事責任はたいへんだ

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 あちこちの弁護士らしき人たちの書き込みをみていたら、民法の不法行為では、過失による教唆や過失による幇助も損害賠償責任を負うらしい。罪刑法定主義がないとたいへんだ。しかし、法が行為規範として機能するためには、法的な禁止という次元では、民事も刑事も同一の規範でないといけないだろう。
 だったら、刑法では、過失犯については、統一的正犯概念をとらないといけないのであろうか。なんかなぁ。だいたい過失による教唆とか過失による幇助って、ちゃんと故意の正犯がいるのだから、そいつを処罰できれば十分だろうに。

継続犯

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 法益侵害状態が継続する間、犯罪が継続して成立するものをいうとか。挙動犯でみれば、行為が継続するかぎり、犯罪が継続することになる。でも、最近は異論が多い。

 例えば、所持罪について、所持の開始のみが行為であって、それ以降は支配状態の継続という結果が存続しているにすぎないという見解がそれ。でも、じゃ、なぜ、法益侵害の解消が行為者の行為に左右できない事情によるときも、それによって、犯罪の成立範囲が異なってくるのか、説明できるのだろうか。