Gunnar Duttge, Zur Bestimmtheit des Handlungsunwerts von Fahrlässigkeitsdelikten

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【目次】
序論
「リスク社会」の時代における過失—偶然責任と責任原理との間の答責の記述
A.一般的なリスクについて
 I. 「リスク社会」
 II. リスク対安全—現代の「予知不可能性」と「不知の深淵性」
 III. 行為者の固有の不確実性、「属性の欠如」および「偶然の要因」
B.リスクと(刑)法
 I. 法の「リスク志向」概説
 II. 法の「リスク志向」の詳細
 III. 刑法における過失概念への影響
C 過失概念の明確性に対する疑念
 I. 偶然責任の問題
 II. 「原因において自由な行為」
 III. 課題の設定と議論の進め方

本論 過失犯の行為無価値の諸要素
第1部 概念形成に対する方法論的な考慮の契機としての憲法の明確性の原則という観点における諸説の分析
第1章 過失の概念と体系に対する従来の諸見解
A 「古典的」見解:注意義務違反としての過失
B (「リスク」との関連性なしの)注意義務違反の基準を放棄する理論
C 客観的帰属と「現代的な」結合:リスク理論のプロトタイプとしての過失 

第2章 明確性の要請という局面からみた過失
A 過失の明確性に対する諸説
B 憲法上の明確性の原則の刑法への要求
C 過失概念の明確性とその書き換え

第3章 概念形成に対する方法論的な考察
A ある解決に対して考えうる種々のアプローチ
B 出発点としての判例の分析
C 議論展開の詳細

第2部 過失に関する判例の分析
第1章 過失致死罪と過失傷害罪(刑法222条、229条)
A 法律の状態
B 判例の分析
C 帰結

第2章 過失の偽宣誓と宣誓場所での過失の偽証(刑法163条)
A 法律の状態
B 判例の分析
C 帰結

第3章 その他の過失犯および帰結の概要
A 法律の状態
B 判例の分析
C 帰結の概要と未解決の問題へ言及

第3部 刑法上重要な「契機の要因」を精緻化する心理学的・規範的アプローチ
第1章 知覚から先行理解(Präskription)へ
A 存在と当為の隔たりと結合
B 適用事例:故意
C 過失についての視点

第2章 「契機の要因」の即物的な形成
A 証明と法
B 認知心理学的な基礎
C 危険の認知から過失の判断へ

第3部 「契機の要因」の構造的な中継点
A 刑法理論的ならびに規範論的な統合
B 非刑法的な文脈における「契機の要因」
C 拡張された信頼の原則の基礎づけ

まとめと概要

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コメント(4)

結論としては、「契機の要因」によって過失行為の明確性が確保されるということでしょうか?Präskriptionとはいかなる概念として用いられているのですか?

追伸:私の持っている哲学事典(Woerterbuch der philosophischen Begriffe( Meiner))によれば、präskriptivとはdeskriptivの反意語で規範的、命令的という意味で、特にHare, The Langage of Morals(道徳の言語)でキーワードとして用いられているものです。いまヘヤーの訳語が手元にないのですが、なんと訳されているか一度確認してみて下さい。「先行理解」というとフッサールやハイデッカーのVorverständnisとかVorurteil(先行判断)などという用語を連想しますが、ここではそのような意味ではないのではないでしょうか。

素直に「処方(箋)」とかにしておく方がよいのでしょうか。
ここを書いたときは、認知科学のアプローチをとっていて、たんなる知覚ではなく、認知を問題にするのかと思って、仮訳をあてていたのです。言語哲学にあるような概念とは違うように考えていました。
私のほうも種々あり、きちんと読んでいないのですが、リスク評価にかかわる意思決定のあり方として、具体的・現実問題に個々の処方箋を示すアプローチなのではないでしょうか。⇒要検討。

後の項目との関係から行くと、心理学的要素(認識)と規範的要素を対比させているのではないでしょうか?そうするとdolus indirectus(君の本来のテーマ)との関連も出てくるのでは!来週からBonnに行くので時間があればその箇所を読んで、Jakobs先生にもDuttge説の評価を聞いてきます。

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