先週から、プライベートでごたごたしています(やむなく全部休講。担当者決めしているものは試験後に補講ですね)が、基本的なことを考える素材として。
# 実家が大阪だと、特別休暇1日はたりません。使われることのない年休を追加しました。
ダンプカーで連れ去り、約3キロ北の同市浜玉町の林道に放置した可能性があるとみて調べている。
asahi.com:53歳土木作業員を指名手配 佐賀の男児ひき逃げ放置 - 社会
逮捕状の容疑は、業過と道交法違反のようですが、この事件をきいて想起してもらいたいのは、最判昭和34年7月24日刑集13巻8号1163号です。この判決で、最高裁は、過失に因り通行人に約三ケ月の入院加療を要する歩行不能の重傷を負わしめながら道路交通取締法、同法施行令に定める被害者の救護措置を講ずることなく、被害者を自動車に乗せて事故現場を離れ、折柄降雪中の薄暗い車道上まで運び、医者を呼んで来てやる旨申し欺いて被害者を自動車から下ろし、同人を同所に放置したまま自動車を操縦して同所を立ち去つたという事案で、道交法上の救護・報告義務があることから、法令により保護責任者であるとして、保護責任者遺棄罪を肯定しています。
# 業過で逮捕後、さらに保護責任者遺棄罪等により逮捕するつもりなのかもしれません。
遺棄罪における不真正不作為犯の作為義務と保護責任との関係に関する議論、保護責任の法的性格の議論等も、ふまえたうえで、いろいろ考えるべきところはあります。とくに、保護責任については、継続的な保護関係が必要である(責任要素とする立場、違法要素としつつも作為義務と区別する立場)見解も有力です。そうすると、法令だけで安直に保護責任を認めることはできなくなるだけでなく、本件の事案についても、遺棄罪の成立はともかく保護責任者遺棄罪の成立を認めることは困難になります(山口・刑法各論37頁、林・刑法各論47頁等参照)。