中立的行為による幇助

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福岡県警東署は11日、同容疑者が直前まで飲んでいた店と、助手席の同乗者(20)について、道交法違反(飲酒運転ほう助)容疑での立件を見送ることを決めた。
 調べによると、同乗者は飲酒運転を勧めてはおらず、店側も車で帰ることを知らなかったという。 

Yahoo!ニュース - 時事通信 - 同乗者と店は立件せず=3人死亡の飲酒運転事故−福岡県警

 店の側が車で帰ることを認識していたなら、幇助になるということか。これも中立的行為による幇助が問題となる一例。Winnyの事件に関して、幇助を否定すべきとの主張のなかには、飲食店が車に乗ることを知って酒を提供しても、飲酒運転の幇助はまったく成立する余地がなくなるものもある。それでよいと、開き直るならそれはそれだが、そうでないなら、あまりに視野が狭い。

ついでに、

警察庁は、道交法違反(ひき逃げ)の懲役刑(現行5年以下)を引き上げる方向で検討を始めた。

ひき逃げ懲役刑を引き上げ、警察庁が検討開始 : 社会 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)


 刑法の証拠堙滅罪は、他人の犯罪の証拠についてのみ問題となり、自己の犯罪の証拠を隠滅しても処罰されない。この点との対応を精査しないかぎり、むやみやたらと法定刑を引き上げても、その合理的根拠を欠くことになる。ひき逃げの罪といっても、報告義務違反罪となると、所詮は行政手続上の瑕疵を罰するものでしかなく、刑の加重には罪刑の均衡を失するであろう。救護義務違反をいうにしても、刑法の遺棄罪とのバランスを考慮するなら、現在の長期5年でも重すぎるかもしれない。
この手の議論は、どうも本末転倒の気がする。効果的な犯罪予防ということにしても、刑の加重だけに頼るのは、無理があろう。危険運転致死傷罪にしても、立法当初の趣旨に反して、かなり緩やかに適用されているのも、気になる。こういう前科をつくっているから、よけい共謀罪に対する風当たりが強くなるともいえる。

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コメント(4)

きのうstrafrechtの、県警も同乗しなかったー。
福岡へ容疑も同乗しないです。
strafrechtで同乗したかったの♪
strafrechtは同乗する?
iusは福岡に同乗するはずだった。

福岡県警東とかを同乗すればよかった?

同容疑と、大きい同容疑とか直前とか、同容疑や直前とかを同乗したかったの♪

iusが、広い助手席とかを同乗しなかった。

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