通帳に対する詐欺

| コメント(4) | トラックバック(0)

違法な目的を秘して口座を開設したことが、銀行に対する詐欺罪(通帳・カード)を構成するか?

奥村弁護士の見解 - 通帳詐欺の論点

 今週の授業で扱う予定。最初の判例は、通帳の財物性を判示したにすぎないですが、この問題の本質は、欺罔行為の有無にあると思います。判例・通説のいう「本当のことを知ったら、財物・利益を移転しなかっただろう」という公式があまりに粗雑で、理論的根拠もなく、伸縮自在なことももんだいですが、それだけでなく、不法目的の行為はそれだけで違法という旧態的な道徳的違法観に問題の根があるのではないでしょうか。

 

トラックバック(0)

トラックバックURL: http://www.tiresearch.info/cgi-bin/mt/mt-tb.cgi/75

コメント(4)

高裁の論理は、一応整合性があるのですが、マネロン対策以降本人確認・本人使用が徹底されただけで、それまでは、架空名義だろうが、他人名義だろうが、銀行はあまり気にしなかったのが実態です。
とすると、銀行預金契約はその性質上名義人と使用者の同一性はそれほど重要ではなく、だとすると、他の犯罪防止目的の点を詐欺罪として処罰するのが妥当なのかということになります。
まぁ、マネロン対策以降、同一性が預金契約の重要な要素に変わったのだといわれてしまえばそれまでですが。。。
ただ、こういった事案は、詐欺罪よりは、マネロンの幇助で処罰すのが本筋だとは思います。

きのうは有無とか開設すればよかった?
strafrechtで判示したよ♪

判決速報に、
仙台高裁H18.11.7 がありました。
http://d.hatena.ne.jp/okumuraosaka/searchdiary?word=%c4%cc%c4%a2%ba%be%b5%bd

 詐欺罪説に完全に包囲された感じです。

最近のブログ記事(けったいな刑法学者の戯れ言)

2011-04-17
さすがだな…てっちゃん。ヲタクとして完…
2011-04-17
さすがだな…てっちゃん。ヲタクとして完…
あけおめ

最近のブログ記事(続々・けったいな刑法学者のメモ(補訂版))

科学的証拠の意味
 年度が替ってから,次期中期計画がらみの…
イスラムの刑罰と法(メモ)
 イスラム法で,犯罪は,次の三つに分類さ…
第4回情報ネットワーク法研究会開催のお知らせ
 スーダン出身で現在U.A.E.の内務省…