判決全文はともかく、速報から、なので正確なことはわからないが。
判決はまず、ウィニーの性格について「さまざまな分野に応用可能で有意義なものであり、技術自体は価値中立的なもの」としたうえで、技術の外部への提供行為が違法になるかどうかについては「その技術の社会における現実の利用状況やそれに対する認識、提供する際の主観的態様による」とする一般的な判断基準を示した。
asahi.com:ウィニー開発者に罰金150万円の有罪判決 京都地裁 - 社会
このようにいっているのに、
▽ネット社会に詳しい岡村久道弁護士(大阪弁護士会)の話 ウィニーが客観的に見て、料理にも殺人にも使える包丁なのか、もっぱら違法行為に使われるピストルなのかが問われていたのに、判決は踏み込んでいない。少子高齢化の中でハイテク技術大国を目指す日本の司法が、ハイテク先端部門にきちんとした判断をできなかった。委縮効果を生む懸念がある。
ウィニー有罪:「技術開発に悪影響」 被告ら激しく批判−今日の話題:MSN毎日インタラクティブ
このコメントは解せない。技術自体は価値中立なものといっているのだから、客観的には「包丁」だと判決は答えている。
▽藤原洋・インターネット総合研究所長の話 裁判所は弁護側の意見も取り入れた上で、ウィニーの技術的価値を認めた。少子化や理系離れなどが進む中、技術立国を目指す日本のIT研究開発の流れを、せき止めるような判決にならなかったことを評価したい。判決は、被告一個人の責任追及ではなく、科学技術に携わる者全体の意識としてとらえ、警鐘としていかねばならない。
ウィニー有罪:「技術開発に悪影響」 被告ら激しく批判−今日の話題:MSN毎日インタラクティブ
だから、このようにコメントされているのではないか。詳細は、第3回デジタル・フォレンジック・コミュニティ2006 in TOKYOにて。
ちなみに、今みたら、判決要旨の速報がでていた。MSN毎日インタラクティブとasahi.com
追記
こちらのコメントは興味深いが、若干私とは印象は異なる。
結局、主観的要素で幇助を認定してその証拠は供述調書だと思うんですが、任意捜査の段階で弁護人を選任していなかったことが惜しまれます。
>結局、主観的要素で幇助を認定して
Winnyという技術の中立性が認定されているのであれば、まさに主観面で、違法性をとったのでしょうか。
(P2Pという技術自体は、中立といっている可能性はないのでしょうかね。)
あと、この論点に対して、ソフトウエアフォレンジックスみたいなアプローチというのは、ありえないのでしょうかね。
> まさに主観面で、違法性をとったのでしょうか。
⇒「私とは印象は異なる。」
> P2Pという技術自体は、中立といっている可能性はないのでしょうかね。
⇒「判決はまず、ウィニーの性格について『さまざまな分野に応用可能で有意義なものであり、技術自体は価値中立的なもの』とした上で」
以上、確認まで。
追記
速報から察するに、判決の構成はIFIPの報告のときに示した予想とまったく同じでしょう。
奥村の感想は、正犯の弁護人に流れてきた開発者の供述をよんだ印象です。
>判決の構成はIFIPの報告のときに示した予想とまったく同じでしょう。
なるほど。たしかにそうですね。
火曜日までに判決文が手にはいるのを期待しています。