2007年1月アーカイブ

 表記タイトルでの、岡野光雄先生の最終講義がおこなわれました。岡野先生は、この問題をひじょうに分析的に整理されて納らしたように思います。また、この問題に関しては、すでにひき逃げの重罰化か救護の緩刑化か?というたぬき先生のエントリにコメントしていたのですが、嵐にあったらしく全部削除されています。そこで、今日の最終講義で感じたことと併せて中立的行為における幇助の私のエントリで若干述べたこともふまえ、再度、まとめておきたいと思います。
 その前に、岡野先生の最終講義の前置きのなかに、刑法的な保護の対象の話がありました。簡単にいえば、刑法で問題となるのは被害者の権利であり、その保護、その侵害であるが、近年のひき逃げに関する議論をみると、遺族の権利があまりにも正面に出過ぎているのではないか、というものです。これは無条件に同意されるべきでしょう。このような背景には、遺族の復讐感情、国民の応報感情といった事実的なことがらを刑罰における「応報」とただちに同化させている誤った応報刑の理解があるのではないか、というのが、私の見方です。これは、応報に限らず、予防刑とする立場であっても同様であって、事実的な効果を刑罰において正面から問題とすることがそもそも適切ではなく、規範的なあるいは法的な正義、規範的な効果を追求することが必要ではないかと考えます。私自身は、こういった国民の応報感情なり、遺族の復讐感情を、国民の規範意識、正義、予防などといったオブラートに包んで刑罰論や刑法理論に取り込むことは、ナチスの刑法理論に通ずる恐怖を感じています。

 岡野先生は、ひき逃げに関する問題について、道交法上の二つの義務、報告義務(道交法72条1項後段)と救護義務(道交法72条1項後段)を分析されます。

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