推定と附加刑

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法務省は月内にも、離婚後に妊娠したケースについては、医師の証明書で確認できることを条件に「再婚相手の子」などとする出生届を認める方針

与党のプロジェクトチーム(PT)が検討している特例法案は、法務省が通達で実施する見直しに加え、再婚した場合にDNA鑑定で親子関係が証明されれば、「再婚相手の子」として市区町村が出生届を受理できるようにする内容だ

稲田朋美衆院議員は「(離婚前に妊娠するような)法律婚の間の不貞行為は不法行為だ。(実質的に別居しているケースなど)例外を保護する場合は裁判上の手続きで認めるのが民法の原則だ」と述べた。西川京子衆院議員も「『アリの一穴』のようになって婚姻制度が崩れていく危険性をはらんでいる」と語った

与党「300日特例法案」見送りへ、政府・自民で反対強く : 政治 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

 問題となっている民法772条は1項、2項とも「推定する」となっています。これは、反証があがらない場合に、法律が一応そうであろうと判断を下しているにすぎないということを意味すると思っていたのですが、ことこの条文に関してはそうではないみたいです。民法は得意じゃないので知らなかったです。
 裁判所が親子関係を決めるようにとなっているのは、再婚禁止期間内の婚姻のため772条の推定がうまくできない場合(773条)と嫡出否認の訴え(775条)だけだと思っていたのですが、772条の推定に対する反証はすべて裁判によってなすべきということが民法のどこかにかいてあるみたいです。不勉強でした。
 民法のどこかに773条以外に772条の反証は裁判でやるべきとの明文の規定がないのであれば、DNA鑑定や医師の証明書でいいのだと解釈すればたりると思うのは、どうも門外漢のたわごとみたいです。解釈論や明文規定の存否はともかく、形だけの制度だけを保護するとしても、中味としての個人を保護するものとなっていないならば、たんなる個人的なエゴを満足させているにすぎないのではないかという気がします。家族制度や婚姻制度を本当に保護して、健全に発展するように願うならば、個々具体的な家族をまず保護することが大切ではないかと思います。
 このことは、法益論にも妥当して、制度それ自体の保護、規範それ自体の保護だけを目指すのは中味のないものになってしまうのではないでしょうか。制度の実質、中味に注目して制度、規範の安定を考えることが必要ではないかと思います。まぁ、形だけ大事にするというのが嫌いだという個人的趣味の問題なのかもしれませんが。。。

 生後3カ月以上の飼い犬に狂犬病の予防接種を受けさせず、自宅の庭で放し飼いにしたとして、狂犬病予防法違反罪に問われた奈良市東登美ケ丘の元弁護士、大月妙子被告(71)に対する判決公判が9日、奈良簡裁であった。神山義規裁判官は「再三の保健所の指導にも従わず、飼い犬が近隣住民にかみつくなど被害を及ぼしながら、反省の色が見られない」として、罰金20万円・犬3頭没収(求刑・罰金20万円・犬3頭没収)を言い渡した。
 大月被告について、奈良簡裁は今年1月、罰金20万円の略式命令を出したが、大月被告がこれを不服としたため、公判となっていた。

Yahoo!ニュース - 産経新聞 - 予防接種怠った元弁護士に「犬没収」判決

このニュースを見たとき、略式命令にも附加刑はあるのだと書こうと思ったのですが、すでに奥村弁護士が書かれていました。なので、別の問題を。では、この事案で犬を没収していますが、どの没収要件に該当するのでしょうか。ついでに、予防接種違反の罪は3万円以下の罰金が法定刑なのですが、なぜ20万の罰金刑となったのでしょうか。

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与党の素敵なはなし?

きょうiusはここで衆院はここに議員みたいな保護♪
きのう衆院の、町村とか鑑定したかった。

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