2007年11月アーカイブ

製造行為一個説

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 某先生に、今年度は懲役刑(たしかに作業をともなうし、身柄拘束もあるし)だからといわれてますが、それを実感する今日この頃。備忘録です。以前東京高判の判批を書いたとき、一連の行為を製造行為にすればよいといったら、散々でしたが、多少賛同者はいるようです。

銀塩カメラのネガは必ず永久に残るが、デジカメのSDカードの画像は残らないのである。
 だとすると、デジカメ利用の場合は、SDカードなどの中間媒体の存否にかかわらず、犯人の意図する最終媒体の生成に至る一連の所為が一個の製造行為であり、製造罪の単純一罪となるのである。(包括一罪説には反対する)
 また、保護法益からも説明できる。
 3項製造罪(姿態とらせて製造)の趣旨が、画像の流出による法益侵害であるとすれば、製造犯人の意図は、児童ポルノであるHDDを製造することである場合に、短時間で
   撮影→SDカード→HDD
という複製過程があったとしても、SDカードが流出する危険がないから、SDカードについて独立した製造罪として評価する必要はないのである。
[From 製造行為一個説 - 奥村徹弁護士の見解(hp@okumura-tanaka-law.com)]

 ちなみに、私は包括一罪(科刑上一罪的な性質ではなく、実体法上の一罪の性質のもの)であろうと思っています。検察側からは、SDの画像が残らないとはいいきれない、といわれそうです。ところで、画像流出による法益侵害の危険って、被害児童の利益の侵害なのか、社会的法益のほうなのか、どっちなんでしょうか。

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