甲南法務研究No.1(2005年)107ー113頁。
東京地判平成17年3月25日判時1899号155頁の公判において提出された意見書に若干の加筆修正を施したもの。奈良法学会誌とかで言い出しといてなんだけど、プロトコルごとのアクセスコントロールを重視するというのであれば、やはり管理権者のアクセスコントロールに着眼せざるをえないので、個人法益として理解しないと難しいのではないだろうか。と、最近は思いつつある。だいたいそんなことは立法時からわかっていることなので、最初からいっておいてほしいものである。そんなこんなということも含めて、保護法益と解釈との関連をもう少し明確にして欲しいところではある。
補筆についていえば、立法趣旨にこだわり、社会的法益とするなら、裁判所と同じ考えでよいやんということにつきる。私見では、従来から問題にされてきている情報の不正入手としての情報窃盗と情報のアクセスとは、違うということが、問題の核心にあるということなのだが。。。情報への無権限アクセスを包括的に規制すべきであるという意味では、結論的には、夏井説でもよい。ただし、社会的法益とする点と情報へのアクセスに情報窃盗を一本化させるところが違う。でもそうすると、これまでの刑法の教科書を全部捨てなければならないようだ。そうならないように、情報内容の取得と情報へのアクセスを分けようとしているのだけど。なお、真理をまげることになるのかどうかはわからない。同定可能な、法的命題に対応する事態はなんであろうか。
甲南法務研究No.1、今日送ってもらいました。
ちょうど不正アクセス禁止法の控訴審を受任しましたので、参考にします。