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 コメントにあったので、承継しようかといろいろみた感想ですが、各論のほうはともかく総論のほうは承継しようがない。おそらく書いているのは別人なのでしょう。構成要件をアプリオリに違法有責類型にしていますしね。被害者の同意について、ちょっとつっこみ。

その内容の多くは、「本人の意に反して」等の形で構成要件自体に含有されているものと解される(これを「合意(Einwilligung)」と定義し、違法性阻却事由としての「同意(Einverständnis)」と区別する場合もある)。

 私の理解からは、Einverständnisが合意、つまり特定の犯罪構成要件要素の実現の前提として人の意思に反する行為を要するものだったのです(Vgl. Kindhäuser, Strafrecht AT, §12 Rdn. 33ff.)が、違う定義をするようです。

その行使態様としては(1)目的が合法である、又は違法でないこと、及び(2)行為そのものが社会的に認容できるものであることが要求される。行使態様における成立要件の具備状況については、ともに十分であれば異論なく同意ありとされるが、片方が欠ける場合又はその水準が低い場合には、いずれに比重を置くかで、行為無価値派と結果無価値派で争いがある。

 行為無価値派と結果無価値派とは、なんか派閥抗争でもしているかのようです。いずれにせよ、その派閥抗争で争われているのは、このような問題ではなく、むしろ、行為者が被害者の同意を認識していることを必要とするのか、あるいは、被害者の同意が行為時に存在することを要するか、あるいは結果発生時まで要するのかということで、抗争しているように思います。

 ほかにも、多々つっこみどころはあるのですが、きりがないので、やめときます。同意については、公序良俗と刑法上の違法性を参照のこと

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コメント(2)

総論はご指摘のように記述に問題があると思います(誰が書いたかは判りませんが、更新履歴を見れば各論とは別だと判ります)。Wikibooksの趣旨にも合っていないのでは。Wikipediaの刑法関係の項目もかなり記述の質に違いがあるようです。私も暇ができたら(できそうにありませんが)意見を書こうと思っていますが、とりえあえずは、今授業をやってる各論のレジュメ的なものを載せて、それから肉付けしていき、様々な意見をいただきたいと思っています。それからWikibooksに刑法のコンメンタール的なものがあってもいいのではないかと思います。こちらの方が随時更新の必要性はより高く、日本はコンメンタール類が少ないのでより需要が高いのでは思います。

(^^*) ホホホホ
総論については、授業の補足用にレジュメをwikiで作っているのです。ほとんどなにもないのと同じですが。
各論のほうはコメンタール的なものがよいかもしれませんね。

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