権利行使と詐欺

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受信料集金の際に「NHK受信料拒否の論理」の著書があるジャーナリスト、本多勝一さんの名前を持ち出して「本多さんはもう受信料を払っています」などと虚偽の説明をして、集金しようとしていた

Yahoo!ニュース - 毎日新聞 - <NHK>集金でウソ…「本多勝一さんも受信料払っている」

 判例・多数説によれば、いわゆる権利行使と恐喝について、正当な権利行使であっても、その手段として不正な方法(脅迫)を用いた場合には、手段の不当性のみに着眼して脅迫罪とするのではなく、恐喝罪とすべきであるとします。これは、恐喝罪と同様の交付罪である詐欺罪についても妥当するというのです。したがって、権利者であっても、弁済を受けるために欺罔または脅迫を用いた場合、たとえ実際に現金等が交付されなくとも、詐欺未遂または恐喝未遂が成立することになります。

 判例・通説は、詐欺罪の手段としての欺罔行為については、被害者が本当のことを知ったならば同意しなかったであろうというものでたりるとします。上記ニュースの場合にも、被害者が本当のことを知ったならば受信料を払わない、集金人の虚偽の説明を信じたならば支払うということであれば、欺罔行為として十分であるということになります。
# 実際に、著者本人に確かめたくらいですから、もし本の著者が支払っているということを信じたならば支払っていたといえるかもしれません。

 他方で、上記のような判例・通説の考えに対して、近年では、二つの点で有力な反対説が主張されています。一つは、権利行使にかかわる点で、自己の債権を満足させる以上、財産的損害を認めることはできないとして、財産犯の成立を否定すべきであるとする見解です。もう一つは、詐欺罪の欺罔行為に関わるもので、例えば、法益関係的錯誤の理論を欺罔行為にもおよぼし、財産的損害ないし利益の点を錯誤させる欺罔のみに限定すべきであるとしたり、危険分配的な理解を考量する見解です。

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コメント(3)

虚偽などを行使したかったの♪

iusが、毎日新聞とかされなくとも
ネットでニュースなどを拒否しなかったの?

きょうは、ここでNHKは未遂が受信したかも。
またはここまで恐喝した?
またはきのう、権利へ行使するはずだったみたい。

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