新司法試験考査委員に対するヒアリング

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回答者は刑法は山口教授、刑訴は酒巻教授(やはり出題者だったのか)

刑法授業補充ブログ : 新司法試験考査委員(刑事系科目)に対するヒアリング


意見発表者で、刑法の考査委員は、山口厚、林秀行、刑訴は酒巻匡、佐賀元明(敬称略)ですね。考査委員の意見のなかで、修習の話をしているのは実務家の方でしょう。

ちなみに、刑事系科目とのヒアリングのほかに、公法系科目民事系科目のヒアリングも公開されています。

刑事系も公法系も、事実の分析・抽出、具体的事実に即した検討が不十分とか、基本的な原理や理論の理解、考察の不十分さがみられたみたいですね。とくに理論教育に携わる教員に対して、警鐘をならしているのは共通しているところです。公法系の意見のなかに、

ただ,執筆するのに十分時間があり,執筆するのに参考文献も読むことができる法科大学院の教員が法律雑誌に解説を書いている中にも,不適切,不十分な解説がある。


予備校や受験にかかわる雑誌では,採点者からすると優秀答案(模範答案)とはいえない,合格者が書いた再現答案が「優秀答案」として扱われる。受験生は,それを「模範答案」として暗記する。こうして,優秀とはいえない答案が,しかもパターン化して蔓延することになる。今回も,採点して,実際の答案は,出題者の意図からずれてしまっていたことから,そのような答案が蔓延することになるのではないかと危惧している。


とあります。まぁ、いつもいっていることですけど。逆に、

法科大学院教育の「崩壊」を防止するためには,なお一層,教える側に広く,深い研究に裏付けられた教育を行うことが求められる。そのような教育とは,私見を押し付けるのではなく,豊かな感受性でもって問題を発見し,深い理性と温かい心をもって多面的に問題を検討し,そして筋の通った結論を導き出す能力を養成する教育であると思われる。


というのは、心しておかなければならないところでしょう。



ところで、裁判所の判断はつねに具体的事実との関係において意味をもつのですが、なんか最近、判決や決定の抽象論だけをふりまわす法律の専門家が増えているのはきのせいでしょうか。いろいろな学説の示している基準も、その背後にある理論的な基礎から、具体的にどのように適用されるかがわかるのですが、ここでも抽象的な基準だけを振り回したり、そういうのは基準にならないという声も聞こえますが。。。

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このページは、Tetusya Ishiiが2006年12月16日 21:52に書いたブログ記事です。

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