木曜日の法科大学院の授業(1年次の刑法各論)は、六大学法文系部長会議が千葉で開催されている影響なのか、先日の中教審の改善方策にかかるヒアリングの一環なのか、わかりませんが、文科省の法科大学院室長ほかの授業刺殺視察がありました。
もともと、各学期の中頃に教員相互の授業参観があるので、授業を見られるはいいのですが、視察される方の肩書きや法科大学院を取り巻く状況からすると、なにか緊張するものがありました。
視察時間帯に、必修科目や専任教員の授業がほかになく、未習者必修科目ということで視察対象となったものと思われます。
私は、視察されてた方と直接話すことはなかったですが、あとからきいたところでは、
「いきなり事例からやるんですね〜」
というものでした。語尾の「〜」は、感心の表現だとか。
未習者向けの授業のあり方は、いろいろあるでしょうが、あくまで、2年次に濃密な各論の授業があるという前提で、授業内容を考えています。どうせ15回で、基礎的なことに絞っても、全部できるわけはなく、ならば、条文を解釈して、すべての構成要件要素を明らかにし、事実にあてはめるという基本的な作業のくせをつけようということに焦点をおいただけです。
ともかく、授業の目標が、基本書を自力で読めるようにするということですから、なんのために読むのかがわかればよいということです。当然、解釈や帰結が分かれるわけですが、それがどうして生じるのかということを理解できれば、なぜ論点としてあつかわれるのかもわかってくるのでは?ということです。
教科書読んだり、資料を調べるのは、予復習で自分でやってね、というかなり学生任せのものです。ただ、刑法各論でやること(実は、総論もそうだったりする)は、条文を解釈して、構成要件要素を明らかにし、事実にあてはめるというまさに法解釈学がメインで、これが正面に出てくるので、私は「ザ・法律学」といってます。
授業の方法として、刑法各論上の重要な問題点を取り上げ、それに関わる判例・学説を解説するということや、まずは、コンメンタールや体系書の記述のように、構成要件要素ごとに判例・学説を説明を順次加えていくということも考えられます。
前者の場合、どうしても論点の議論に拘泥してしまい、条文解釈という基本を忘れてしまいがちになります。後者は、時間の関係上、なにもできずに終わりそうですし、未熟者なので、書物の説明以上によい解説をできる自信がありません。
現在の授業法の一番の問題は、法学をやったことがないので、想定外の発言があったり、一所懸命予習してきた者からは、みんながよくわからないので、ごまかして書かれている箇所の説明を求められたりすることでしょうか。
もっともきついのは、筋書きが読めないので、臨機応変に修正して、最後は、まとめないといけないことで、これはうまくできているのかどうか。もしかすると、視察された方の感想は、てんでまとまっていないという嘲笑だったかもしれません。
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